ペットライフと法律

皆さんこんにちは。ペットライフデザイン協会理事の中間です。

毎年9月20日から26日は、動物愛護週間です(ペットを愛する皆さんは当然ご存知かと思いますが・・)。

なお、このコラムは動物愛護週間とは特に関係なく、法律のことを書いてみたいと思います。

日常生活で法律のことはあまり意識したことないかもしれませんが、ペットと暮らしていると実は様々な場面で法律が関係してきます。何かあったときに大切なペットとの暮らしを守れるように、ご一読いただけますと幸いです。

①動物の愛護及び管理に関する法律

昭和48年に議員立法で制定された法律です。平成11年、平成17年、平成24年、令和元年に議員立法による主たる法改正が行われています。法律の目的は、動物の愛護と動物の適切な管理(危害や迷惑の防止等)に大別できます(環境省HPより)。

具体的には、ペットショップ等のペットに関するビジネスを行う者に対する規制、生後56日に満たない犬・猫のを販売・引き渡し・展示を禁止するいわゆる「8週齢規制」、マイクロチップ装着の義務化など事業者側の規制、狂犬病注射その他飼育の仕方の基本的なルールなど、様々な規制が法律に規定されています。

特に、ペットに関する仕事をする人は、まず動物愛護法のルールにどういったものがあるか確認する必要がある基本的な法律です。

②民法

動物に限らず、人と人との間でなにかを買ったり、サービスを利用したり、いわゆる「取引」をおこなったりする場合は、民法上の「売買契約」、「請負契約」など契約類型によって民法上の規制があります。散歩中に自分の飼い犬が人や犬を傷つけてしまったときは動物占有者の責任等でいわゆる損害賠償責任が生じることなど規定されています。いわば、生活上の基本的なルールを定めている法律になります。

③消費者契約法

消費者が事業者と契約をするとき、両者の間には持っている情報の質・量や交渉力に格差があります。このような状況を踏まえて消費者の利益を守るため、平成13年4月1日に消費者契約法が施行されました。同法は、消費者契約について、不当な勧誘による契約の取消しと不当な契約条項の無効等を規定しています(消費者庁HPより)。

例えば、通信販売でよく聞く「クーリングオフ」も消費者契約法で規定されています。また、ペットホテル等で、「ホテル内で生じた事故等についてホテル側は一切責任を負いません」といった文言が契約書(同意書・確認書)に記載されているのを見たことがありませんか?実はこれは消費者契約法で無効になります。通常ホテル側の過失によって犬猫を傷つけてしまったりすればその損害を賠償する義務が生じるところ、そういった法的義務を無条件でなくしてしまう契約条項は、消費者契約法10条で消費者の利益を一方的に害する条項であるとして無効になる、というロジックです。

こういったように、消費者の利益を守る法律が消費者契約法です。

④ペットフード安全法(「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」)

ペットの健康に悪影響を及ぼすペットフードの製造、輸入又は販売は禁止されます。消費者に対して適切かつ十分な情報を提供するために製造業者名や賞味期限などの表示が義務付けられます。また、国は国内に流通するペットフードを監視し、問題が起きた時はその廃棄、回収を事業者に対して命令することができます(環境省HPより)。

⑤まとめ

例えば、

・ペットを購入するときは民法や消費者契約法

・購入後の狂犬病注射は動物愛護法、

・飼育用品を買うとき、ペットホテルやトリミングサロンを利用するとき、グッズを買うときなど、日常生活でペット関連のサービスを利用するときは、民法や消費者契約法

・ペットに関する事業を行う際は、動物愛護法やペットフード安全法

など、シーンによって何かしらの法律が関連してきます。

日々の生活のあちこちに法律が関係していることをなんとなく実感できたでしょうか。

詳しいことは覚えなくても構いません。専門家に聞きましょう。

大事なのは、ペットとの生活やお仕事をする中で、「これって実は法律で禁止されてたりしない?」と法律ではどうなっているのだろう、とふと立ち止まる習慣、アンテナを張ることです。

なにか違和感や疑問を感じたとき、アンテナに触れた時点で早めに弁護士に相談していただけると、トラブルを未然に防ぎ、ペットとの暮らしをより良いものにしていけるのではないか、とおもいます。